HBM3e - sirius
2024/01/22 (Mon) 15:21:01
HBMの相場が始まったと思います。
日本マイクロニクス6871
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生成AIブームを支える超高速メモリー、サムスン電子とSKハイニックスの競争過熱
2023.08.21
韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と韓国SK hynix(SKハイニックス)が超高速DRAM技術「HBM+」を採用するメモリー世界市場シェアのトップ争いを繰り広げている。もともとは高性能なグラフィック処理向けに開発されたHBMだが、生成AI(人工知能)の需要拡大に伴って、大量のデータを一度に処理できるハイスペックなメモリーが求められるようになったことから、サーバーやデータセンターでHBMのニーズが高まっている。HBMは高性能なだけに一般的なDRAMより6~7倍ほど価格が高く、サムスン電子とSKハイニックスは半導体部門の赤字を改善するためにもHBMに力を入れている。
★HBM=High Bandwidth Memory。広帯域幅メモリー。DRAMのダイを積層(垂直に積み上げ)して、全体のデータ転送速度を高速・広帯域化するメモリー技術。
AIのデータ処理に使うGPU(Graphics Processing Unit、画像処理半導体)にはサーバー向けよりさらに高性能のHBMを搭載する。2023年8月、米NVIDIA(エヌビディア)はAI向けGPU「GH200 Grace Hopper Superchip」をベースにした次世代のNVIDIAプラットフォームを発表したが、このGH200にはSKハイニックスから調達したHBM3eを搭載した。HBM3eメモリーは第5世代に当たり、既存の第4世代HBM3より50%高速という。NVIDIAの「A100」や「H100」といったGPUにもSKハイニックスのHBM3を搭載している。複数の韓国メディアによると、ファブレス半導体メーカーの米AMDが2023年6月に発表したGPU「MI300X」にはサムスン電子やSKハイニックスから調達したHBM3を搭載するとのことだ。
HBMにおいてはサムスン電子よりSKハイニックスの技術力が高いと評価されている。SKハイニックスは2013年に世界初となる第1世代のHBMを開発、2022年6月には第4世代に当たる8層の16GバイトHBM3の量産を開始、2023年4月に12層のHBM3を開発した。一方のサムスン電子は一歩遅れて2015年に第2世代のHBMから本格的な開発に入り、2023年8月時点で12層の24GバイトHBM3のサンプルを顧客に提供している。両社は第5世代に当たるHBM3e、第6世代となるHBM4の量産も準備中で、第5世代のHBM3eをサムスン電子は「HBM3P」、SKハイニックスは「HBM3+」とそれぞれ称している。SKハイニックスは一足早く第5世代のサンプルを顧客に提供していて、サムスン電子は2023年内に公開するとしている。米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)も2023年7月26日(現地時間)、8層で24Gバイトを実現した「HBM3 Gen2」のサンプル出荷を開始したと発表したが、韓国内では第1~2世代のHBMから開発を続けている韓国勢の技術には及ばないという声がある。
台湾のリサーチ会社TrendForceによると、2022年末時点でHBMのサプライヤー別世界市場シェアはSKハイニックスが50%で1位、サムスン電子が40%で2位、マイクロンテクノロジーが10%で3位だった。今後のシェア見通しでは、2023年にSKハイニックスが46~49%、サムスン電子が46~49%、マイクロンテクノロジーが4~6%とする。2024年には韓国2社のシェアがさらに拡大して最大95%となり、マイクロンテクノロジーは最大5%のシェアを占めると展望している。TrendForceは世界のHBM需要は2025年まで年平均45%成長を続けると予測している。2022年まではクラウドサーバー向けのHBM2の需要が最も多かったが、2023年以降はAI向けHBM3とさらにハイスペックのHBM3eの需要が拡大するという。
韓国証券業界は、HBMの特需でサムスン電子とSKハイニックスのメモリー事業の実績が大幅に改善するというリポートを出している。背景にあるのは、米Google(グーグル)や米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)がAIサービス強化のために自前のAIチップ開発を進めていること。このチップにHBMを搭載するとなると、サムスン電子かSKハイニックスから調達するしかないからだ。
生産キャパシティーを2倍に
サムスン電子とSKハイニックスは2023年7月末に発表した2023年4~6月期の決算説明会の中で、HBMの投資状況に関する質問に答えた。いずれもHBMに持続的な投資を行うとして、自社のHBMが世界トップであると強調した。
サムスン電子は「当社はHBMのリーディングカンパニーとして第2世代のHBM2を主要顧客に独占供給した。第3世代のHBM3は業界最高レベルの性能と容量を誇る。(容量換算で)10億Gバイトを超える顧客を確保済みで、下半期の追加受注に備えて供給能力を強化している。HBMの生産キャパシティーは少なくとも2倍以上増やす」とした。一方のSKハイニックスは「市場への対応能力、製品の完成度、量産の品質などを総合すると当社が市場をリードしていることは間違いない。長期間にわたり、経験と技術の競争力を蓄積してきた。HBMの世界市場をリードし続けるために、HBMへの投資を優先して生産キャパシティーを2倍に増やす」とした。
サムスン電子の強みはGAA(Gate All Around)構造のトランジスタ、HBM、パッケージング技術を全て保有していることであり、SKハイニックスに対してはパッケージング技術で勝負するという。具体的には、2023年6月にパートナー企業と設立した「Multi-Die Integration Alliance(MDIアライアンス)」において、2.5次元や3次元の異種チップ集積パッケージングソリューションを開発し、顧客が望むワンストップでオールインワンのサービスを提供するという。
HBM3に関しては、接着材料に導電粒子を含まないNCF(Non Conductive Film、非導電フィルム)を用いることで、12層化に伴う技術的な課題を解決したとする。一部報道によれば、サムスン電子はNVIDIAと協力してHBM3や先端パッケージングサービスの技術検証を行っているという。SKハイニックスのHBMは台湾TSMC(台湾積体電路製造)がパッケージングしてからNVIDIAに納品していることから、パッケージングまで自社で可能なサムスン電子なら、GPUを委託生産する可能性すらある。
一方のSKハイニックスはMR-MUF(Mass Reflow Molded Underfill)という技術の優位性を主張する。この技術は、積み上げたチップとチップの間の回路を保護するために、液体の保護剤を注入して固めるというものである。同社によると、MR-MUFはチップを積み上げるたびにフィルム素材を重ねる工程と比べて効率がよく、放熱もより効果的にできるという。
世界トップを主張する、サムスン電子とSKハイニックスのプライドをかけたHBM技術の競争過熱は、生成AIの飛躍的な発展を支えていきそうだ。